2023.1.8

東京駅ってこんなに綺麗なんだねぇと快晴の寒空を歩く。数年ぶりに育児から離れたフリータイムin東京。三菱一号館美術館でヴァロットンを観た。日本の浮世絵の方が桁違いの技量であるが、描きたいことが明確なのはヴァロットンの面白さ。同時期で比較されていたロートレックは昔からなぜか好みでないのよね。

 

5日はまだお正月休みの所が多く、オーバカナルならやっているだろうと銀座方面へ。連日のご馳走で胃が重いのでニース風サラダと白ワインを頼むも揚げ物好きの私はフレンチフライを頼むかを悩む。ハーフサイズにしてくれるということで結局、お願いした。テーブルでメイク直しする女の子を眺めつつ食後のコーヒーにウエストの喫茶室に行きたいなと思いつきお正月の銀座を歩く。信号を渡ったところで何組も並んでいるのが見えてげんなり。入り口横の売店でサブレストを買って喫茶室は諦める。ショッパーがあのベージュではなく白地のエンボスのみで潔くなっていた。

 

コーヒーが飲めなかったし、表参道の方にも行こうかなと銀座駅に向かう。不二家の看板を見ながら歩いていると、酔って上機嫌なおじいちゃんを思い出す。若い頃から洋菓子に従事してフランスに留学したり妙に洒落たおじいちゃんであった。銀座の不二家の下で待ち合わせてデートしよう!と楽しそうに話していたが、実現しないままもう会えなくなってしまった。戦後やバブル期の日本を知ってる人が見ている銀座はどんな景色だったのだろう。

 

住んでいた頃に使っていた改札口は何だったかなと銀座線の階段を降りながら考えても思い出せず。幾つもある改札口からなんとなく外に出たら山陽堂のところだった。変わらないタイル画。さてどこへ行こうか。美味しいコーヒーを求めながらウロウロと歩き出す。お正月休みもあって開いていないお店も多かったが、よく立ち寄っていたお店は何軒も無くなっていた。空きテナントも目につく。結構な距離を歩いて何のために歩いてるのか分からなくなってきた頃に深夜のおしゃべりの記憶と共にロータスを思い出して向かってみるも、お店のガラス越しに話す女の子達を眺めたらなんだか満足してしまって、斜向かいのクレープリーに入る。バターとお砂糖のクレープとカフェオレをササっと頂いて外に出る。とっても美味しかった。

 

表参道を少し下って満足したからタクシーに乗って文化村ミュージアムに。日頃歩いていない足の限界。広くて座り心地の良いタクシーの中で〝満足した〟私の気持ちの事を考えていた。正直、楽しみにしてた表参道はつまらなかった(イルミネーションも見れなかったしね)。きっとSNSで私の友達がセンスよく切り取る東京が素敵なんだなーと腑に落ちる。マリー・クアント展を観て外に出ると空が暗くなった渋谷。ライブに来たりしてたいつかの自分を思い出しながら駅前開発の迷子になりに行こうと渋谷駅へ向かう。途中でVIRONが目に入ってお土産にジャンボンフロマージュ1本とクロワッサンを2つ。材料費高騰とはいえ高価なパンである。東京土産のネタに嬉々として買った。

 

工事中の渋谷駅の空に妙にキラキラと輝くビル群。駅は相変わらず工事中だったので矢印に導かれて進んだら期待したほど迷子になれなかった。渋谷の街はなんでもあるのにやっぱりなんにもなくてウンザリする雰囲気は何も変わっていなかった。あの窓の光ひとつひとつに人が居てなどと考えていたら頭がグルグルしてきた。集合体恐怖症の人はこの窓をどう思うのだろう。帰りの電車のホームはコロナ対策など無視したように人が密集していて、クタクタの足を考えてグリーン車に乗ることにした。すっかり観光気分。のんびり座って知っている車窓風景を眺めていると、もう満員電車で通勤できる私ではなくなっていることを実感した。頑張っていた私おつかれさま、ありがとう東京。大好きだけど大嫌いよ。

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